■モダンテニス~道具編~

   
   

十年一昔、テニスも様々な面で様変わりしています。

その中でも、道具の進歩というのは目覚ましいものがあります。
ラケット、ストリング、シューズ、ウェア、などなど。
その中でも、ラケットとストリングの性能が、テニスの在り方を変えたと言っても過言ではありません。

ラケットについて見てみると。。。

今のラケットは、もの凄く軽量となり、反発力やスピンを与える性能のみならず、打球の際に発生する不快な振動をもカットして、人体に対する負担を軽減してくれます。

昔のラケットは、重くて反発力もなく、スピンのかかりも悪くて振動も大きくて、扱うプレイヤーの負担は、今と比較にすらなりません。

ラケットの進歩に合わせて、同様に目覚ましい進歩を遂げているのがストリングです。

特に、ポリエステルストリングの進歩は目覚ましいです。

ラケットのパワーやスピン性能が向上するということは、それらを受け止めるストリングにかかる負担が大きくなっているという事ですので、ストリングも進歩しなければならないというのは、当たり前と言えば当たり前なのですが・・・

ただ単に硬くて切れにくいだけの存在だったポリエステルストリングが、柔らかく反発力を持ち、表面の滑りを良くすることで、スナップバック性能を向上させ、パワー性能とスピン性能を両立できるようになって来ました。

・・ですが、硬いプラスチックの様な材質なので、打球時の衝撃は大きいです。また、伸縮の「縮」の性能に乏しいために、打球の度に伸びていき、柔らかくはなるものの反発力が劇的に落ちて行きます。

良い(=高価な)ポリであっても、その真の性能は数日しか持ちません。そのために、お凡そ10日を目処に張り替えを行う必要がありますが、練習量の多い、或はシッカリとボールを強打出来るプレイヤーだと、5日程では切れてしまうので、あまり問題はおきません。問題が起きるのは、2週間も3週間も切れないプレイヤーです。時間経過と共にボールが飛びにくくなるので、その分自分の体で頑張らないとイケなくなり、負担が倍増します。結果、手首や肘、肩周りのトラブルとなって現れます。

何故この様なストリングが、今、全盛期なのか?と言いますと、それは、先程書きましたラケットパワーの増大にあります。ラケットのスピン力や反発力が増大しているために、これまでのナイロンストリングでは、飛びすぎるし、回転のかかりも悪くなり、尚且つ、切れやすいという状況に陥ります。

ポリエステルストリングは、ナイロンストリングより、反発力や打球感の面では劣りますが、ホールド感やスピン性能の面では秀でます。
反発力の増大したラケットにポリエステルストリングを組み合わせる事で、飛び過ぎを押さえ、スピン性能を最大限に引き出してくれます。

そのお陰で、より強烈にボールをひっぱたく(錦織流で言うなら「しばく」)ことができ、その上で、強烈なスピンボールを打ち放つことが可能となります。

そして、このラケットやストリングの性能進化が、プレイヤーのスタイルにも大きな影響を与えました。

スピン+強打が『強烈なストローク』を生み出し、ストローカー全盛期を作り上げます。また、ラケットの軽量化やパワフル化が、スイングの形を変え、ボールの軌道や質を大きく変化させました。そのスイングスタイルの変化が、テニスのスタイルをも変化させています。

計量化されたラケットが、スイングの形を大きく変えました。神話のように語り継がれている「ラケットは重たい方が良い」という話は、正に過去の遺物的な話です。

今、選手にとって必要なラケットは、試合終盤になっても、しっかりと振り切れるラケットであり、一般プレイヤーにとっては、2時間練習してもキッチリと振れるラケットです。

先程、スピン性能が向上したと書きましたが、それは、シッカリとラケットを振り切ってスイングした時の話です。

当たり前ですが、面に当てただけでスピンがかかるラケットなんて、在りはしません。そのためには、旧来の「ラケットの重さを生かした」惰性のスイングではなく、「シッカリと振り切れる重さのラケット」である事が重要になります。

それと、もう1つ重要なことがあります。

それは、現在のスピンをかけるスイングでは、右腕(上腕も前腕も)が、かなり複雑な動きをするという事です。単に下から上に擦り上げるスイングではありませんので、力任せの雑なスイングでは、それを実現する事ができません。

この複雑な動きを実現するためには、重たいラケットは、全く必要ではありません。必要どころか、プレイヤーの体に負担をかけるだけの足枷にしかなり得ません。

ここにモダンテニスクラシカルテニスの大きな違いがありますが、それについては、次の『モダンテニス~スイング編~』にて書いて行きます。
続く!(^^)/

-おまけ-『ハイブリッド』
先程、ナイロンストリングとポリエステルストリングについて書きましたが、現在のプロ選手が使うストリングは、ハイブリッドと呼ばれる、異なる種類のストリングやガットを組み合わせる張り方が主流になっています。
多いのは、ナチュラルガットとポリエステルストリングの組み合わせです。縦ポリ+横ナチュラル(或いはその逆)を組み合わせて、より強烈なスピン性能とパワーを実現しています。
縦横どちらにナチュラルガットを使うのかは選手個人個人の目的によりますが、どちらにせよ、ガットやストリングには賞味期限がありますので、トッププロ達は、頻繁に張替えを行います。
3セットマッチの場合だと、概ね6本、5セットマッチの場合だと
10本、全て新しく張り替えたラケットを用意して試合に臨みます。
試合中でも、テンションが合わなくて調整を行いたかったり、予定外に切れたりした場合等は、コート上から張り替え(オンコート ストリンギング)を依頼します。
試合前に、ストリングやガットを張り替えて、新しい状態で試合に臨む習慣は、現在は、プロのみならずジュニア達にも浸透しつつあって、ストリンギングの技術がより重要なモノとなって来ています。

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