■縦と横のテンション差

   
   

ご無沙汰しております。

インターハイや中体連で忙しくしていましたが、それが終わった途端の大雨の連続!

いや~、中体連は、例年雨に泣かされることが多いのですが、今回は、逆に炎天下に泣かされた中体連でした。

・・・で、久しぶりの投稿は、「縦(メイン)と横(クロス)のテンション差」について書いてみたいと思います。

 

よく「縦を50ポンド、横を48ポンドで」という言うような注文をされるかと思いますが、これがテンション差ですね。

その差は2ポンドなので、あまり問題点は無いように感じますが、、ストリンギングにおいて、縦と横のテンション差は、結構大きな問題点となります。

そう、「ラケットの変形」という問題に直面するからです。

例えば、膨らみやすいラケット(ピュアアエロなど)に、縦50Lbs(ポンド)、横47Lbsと言うようなセッティングにしますと、何も手を打たなければ、丸々と膨らんだラケットが完成してしまいます。

ラケットの変形は、スイートスポットの位置に影響を及ぼしますので、打感がボヤケたり硬くなったりします。

 

実は、これには、ラケットやテンションだけではなく、マシンやストリングの特性も絡んでくるので、もの凄く複雑な話になってしまいます。

もちろん、ストリンガーという一番大きな問題点は言うに及ばずですが・・・

 

話を戻します。

それでは、縦と横のテンション差をつけると何がどうなるのでしょうか?

まず、片方のテンションが下がるワケですから、単純に打感が「柔らかくなる」です。

「柔らかくなる」⇒ストリングが撓む(たわむ)時間が長くなるので、「ホールド感が増します」。

「ホールド感が増す」と、ストリングがボールを捕まえている時間が長くなるので、押したり擦ったりとうような、ボールに対しての操作がし易くなります。

単純に、全体的なテンションを落として柔らかく張ってやれば、ボールのホールド感がましたり、弾きを出したりすることができますが、ポリでは良くても、ナイロンだと飛びすぎが発生したりします。

通常だと腰が強く硬めのストリングは、低いテンションで張っていても、たわみが少なく、ボールを弾く感じが残るので、スイングスピードが速くないプレイヤーにとっては、扱い難いものとなってしまいますが、38Lbs/33Lbsのように縦と横で5Lbsほど差を出してあげると、ビックリするくらいホールド感が強まります。

もちろん、横のテンションが下がっているので、同一テンションよりは、ボールを飛ばしてくれるようになります。

この写真の4本は、どれも普段よりテンション差をつけて張り上げましたが、結構良い感じに張り上がっています。

ラケット ストリング 今回
テンション
普段
テンション
使用者
/レベル
PURE AERO RPM Blast 125 46/44- Lbs 44 Lbs 中学ジュニア
/上級
ProStaff97RF Hyperion 130 52/46- Lbs 53 Lbs 一般男性
/上級
REVO CV3.0 LASER CODE 125 52/48- Lbs 42 Lbs 専門学校女子
/中級
REVO X2.0 Vag130 52/48- Lbs 52 Lbs 一般男性

通常でもラケットの変形を回避するために、テンションを下げながら張る機種もありますが、今回のテンション差は、それ以上に差をつけて張り上げています。

 

他にも、高校生の女の子のラケットで、REVO CV5.0にSIGNUM PROさんのPlasma HEXtreme 125を38/33-Lbs(普段は35Lbs)にて張りました。

こちらは、その子のコーチに少し試打をしてもらいまいしたが、縦のテンションを上げていても、すごいホールド感があるとのことで、スピンのかかり具合も良かった感じです。

 

もちろんですが、テンションに差をつけるというコトは、良い面だけではありません。

「横のテンションが下がっている=縦を支える力が弱くなっている」ので、縦のストリングが伸び易くなることが想像できます。

そのため、テンションロスが少し早めに出ると思われますので、その分を見越して、少しテンションを上げ目に張るのも良いかと思います。

テンションを一気に上げても、テンション差を上手くつけてやれば、意外に良い感覚が得られますので、興味のある方は、一度ご相談くださいませ。

 

さて、写真のラケット達は、これからオーナーさんの手元に戻りますが、どのような感想が出てくるか??とても楽しみです。

続きを乞うご期待!!

ヽ(^。^)

文頭にもあるようにピュアアエロは縦横同じテンションで張っても膨らむのに、クロスを2LBs下げるとかなり膨らむと思うのですが、ラケットは変形するが打球感は良くなると理解したらよいのですか?
変形によるラケットのダメージなどは大丈夫なのでしょうか?
私も自分でガットを張りますが、一番気を付けているのが変形をしないためのクロスのテンション操作です。
ラケットによりクロスのテンションを上げたり下げたりしていますが、ラケットの変形はそんなに気を付けなくても大丈夫ですか?
また、初めて張るラケットが痩せるか太るかの予想の付け方等ありましたら、教えてください。

よろしくお願いします。

お返事がとても遅くなり申し訳ありませんでした。

坂本さんが仰る様にピュアアエロは、何も手を打たずに張ってしまうと、張り上げるストリングや使用するマシンによってはかなり膨らんでしまいます。
打球感については好みがありますので、一概に良くなるとも悪くなるとも言い難い部分がありますが、膨らんでしまうと、概ねマイルド(鈍い)打感になる傾向が強いです。
変形が1mm程度であれば、使用するうちにストリングが伸びる等で原型に近づいたりします。
(少し使い込むと良い感じになるというのは、単にストリングが柔らかくなるだけではなくて、変形も関与していると思います)

今のラケットは、フレームが撓んだり(変形してもとに戻る)する事でボールを飛ばしますので、変形が直ぐに大きなダメージに繋がる事は少ないと思いますが、搭載されている性能を十分に発揮する事はできないと思います。
(プロ選手の中には「変形しても構わないから指定のテンションで張って欲しい」という方もいるそうです)

使用するマシンにもよりますが、基本的にはクロスのテンションを下げる事はあっても上げる事はありません。
セッティング(ラケットのマウント具合)で調整しても膨らみが酷い場合には、メインを張り終わらないうちにクロスを張ってしまうなどの工夫をします。

ラケットの変形については、とても気を配る必要があります。
例えば、最近のラケットではYONEXさんのVCOREが結構やっかいなラケットで、マウントのセッティングを工夫しなければ、テンション調整だけでは原型に戻りません。
(面の形状が少し幅広に変わったために、トップ側が落ちて膨らみ、スロート側は劇痩せします)

原型に戻せなければ、打感が板の様だったりホールド感が強かったりと、とても好きにはなれないラケットに仕上がってしまいますが、キレイに張れるとビックリするような好打感に一転します。

ラケット変形は、元々の形状が丸に近ければ膨らみ易く、楕円になる程痩せやすい傾向にありますが、今のラケットは単純な形をしていませんし、面の部分部分に違う素材が配置されているので、一律な変形をしません。
初めてのラケットの場合、変形を想定して張り進めて行きますが、想定が外れ過ぎて変形が酷い場合には、大切なお客様のラケットですので、当然、張り直し!です

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